「今日は何して遊んだの?」。10日の夕暮れ時、新潟市西区の私立認可保育園には、仕事帰りの親たちが次々と迎えに訪れ、笑顔で駆け寄る我が子に語りかけていました。

 同市中央区の女性(37)は、1歳5カ月の長男を今春から預けています。希望していた自宅や職場近くの保育園には入れず、車で約30分かけて送り迎えします。子育てに手がかかる今はパート勤務だが、いずれはフルタイム勤務に戻ることも考えているそうです。ただ、近くの保育園に入れないとそれも難しいです。

 新潟市は2006年以降、保育園の待機児童ゼロを達成し続けているが、入園に際しては第5希望まで記載を求めており、保護者が「希望通り」の保育園に入園できているとは言い難い状況です。実際、女性が長男を預けている保育園は第5希望の園でした。

 「近くの保育園の定員が多ければ入れたかもしれない。保育士が足りなくて定員が増やせないようだ」

     

 新潟県によると、特定の保育園を希望するなどして入園できていない潜在的な待機児童は、4月1日現在(速報値)で263人、新潟市は最多の99人に上ります。県内の待機児童ゼロは、保護者の妥協と諦めのうえに成り立っているに過ぎません。だが、保護者が希望する地域の園に子どもを預けられるようにするには、各地域で保育園の定員を増やす必要があり、保育士の確保が不可欠となります。

 最大のネックとなるのが、他業種と比較した場合の所得の低さです。2015年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査から算出した県内女性保育士の平均年収は約300万円。全職種の平均年収は約400万円で、100万円の開きがあります。若年層になると、さらに年収は下がると想定されます。

 官民格差もあります。市保育課によると、公立保育園では福祉職公務員として給与が保障されているのに対し、私立保育園は園によってまちまち。一般に私立の保育士の方が給与は低い傾向にあるといいます。国は17年度から保育士の月給を約6,000円引き上げる方針を示したが、「格差解消」には程遠いです。

 

 新潟市の場合、市内の保育園207園中、私立が120園を占めており、定員確保には私立の保育士の待遇改善がカギを握ります。

 県保育連盟の平沢正人理事長は、「いくら行政が立派な建物を作っても、保育士が確保できなければ定員は増やせない。保育士の待遇をもっと改善しないと、若い保育士は集まらない」と指摘します。 「保育士さんたちの待遇を改善してほしい」。母親たちからも上がり始めた声は、行政に届くのでしょうか。